中国・台湾での日本将棋認知度 その1
学生時代、中国古典を専門としていたことと、台湾に留学をしていた関係で、中国・台湾には親しみを感じています。
ところで、中国・台湾で日本将棋の認知度ってどれくらいなんでしょうね。ちょっと調べてみました。
(1)日本将棋連盟支部関連情報
日本将棋連盟HPによると、中国・台湾に支部は6か所あるそうです。
1.中国/ 上海支部
2.中国/ 上海将棋同好会
3.中国/ 香港支部
4.中国/ 龍将会支部
5.中国/ 広州支部
このうち、1.2.4.は上海の団体のようです。残る3.4.も南方ですね。第8期竜王戦が北京で開催されています。なので北京にも支部があるのだろうと踏んでいたのですが、意外でした。
そして、中国の支部構成員はどういった人たちなんでしょうね。駐在員を中心としていうるのか、はたまた中国人で形成されているのか。
株式会社ねこまどの北尾まどか女流二段が、2017年末に「 4.中国/ 龍将会支部」のことを記事にしています。構成員の国籍詳細には触れられていませんが、記事の書きぶりからどうやら中国人を中心にした支部のようです。
中国にある支部5つのうち、3つが上海にあります。上海では日本将棋が比較的浸透している、と言えますね。
上海の日本将棋の普及については、2016年5月に株式会社いつつのHP上で、中倉彰子女流二段の報告があります。
それによると、上海には「許建東将棋倶楽部」という団体があって、その主催者許建東さんが、20年にわたり普及活動をしている。その活動が実を結び、上海では日本将棋が授業の一環として220もの小学校で取り入れられている、だそうです。
上海の支部が多いのには、どうやらこの辺に理由がありそうですね。
台湾は、2019年度第4期叡王戦の第1局が開催された地です。当時の中継ブログで台北支部のことに触れられていて、構成員はほとんど現地の人、とのこと。
目を引くのは、台湾には台湾人の駒師も存在する、ということ。支部は一つだけですが、愛好者はかなり深く、日本将棋に入れ込んでいることがうかがえますね。
台湾の将棋事情については、先ほどの北尾まどか女流二段のレポートがあります。
ここに紹介されている陳嘉緯さんが、台湾の将棋駒熱の火付け役のようです。面白いのは、中国の書家の書体をアレンジして、オリジナル駒を作っているのだとか。
記事の中で、日本将棋連盟台北支部の黒崎淳一さんが、「駒作りをしている台湾人会員が、台湾人書家による駒字から盛上駒を作り、台北で行なわれるタイトル戦に提供する・・・」という夢を語っています。
この記事が書かれたのは、2017年2月。その2年後、本当にその機会が巡ってます。上にリンクを張った叡王戦のブログには、台湾人駒師の駒が提供されたことが掲載されています。
検分で実際に並べられたものの、残念ながら対局には採用されませんでした。いつの日か、その夢が実現することを私も願ってやみません。
台湾は個人的に思い入れのある土地。現地の人と交流していると、単なる「日本好き」ではなく、「日本との心のつながり」を感じてくれているのだな、というような気がしています。
だからこそ、ゲームとしての将棋にとどまらず、美としての将棋にも台湾の人は心惹かれてくれるのではないでしょうか。
その2に続く。